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月刊NewHOUSE
'04年2月号に掲載されました。
栃木県/Mさんのお宅
家族構成/夫(29歳) 妻(29歳) 長男(2歳)
延床面積/30坪 総工費/1443万円 設計/STUDIO POH
憧れはシンプルでナチュラルな暮らし―――。若い夫婦が、お金をかけず、妥協もせず、自分たちらしい家を手に入れた。
中学の同級生同士のカップルというMさんご夫妻は、現在ともに29歳。夫の実家の敷地内に家を建てることがかねてから決まっていたという。「先のことが読みにくいこの時代。どうせ建てるのなら無理をしても早く建てるほうがいい」と、結婚して間もない頃から家づくりの準備を開始した。住宅雑誌で住みたい家のイメージを求め、インターネットなども使って建築家を探した結果、宇都宮市を拠点とする建築家の星裕之氏にたどり着いた。「星さんは私たちの望むものをじっくりと引き出してくれようとするのがよかった」。2人がずっと温めていた夢の家は、白い塗り壁の外観を持ち、床は素足に心地よい無垢材で2階に広いバルコニーがある家。実現したバルコニーにはヒノキが貼られ、テーブルと椅子を置いてもなおゆとりがある余裕のスペース。空に向かって視界が大きく開けるロケーションが気持ちいい。ナチュラルな心地よさを追求した空間と、『無印良品のものが好き』という夫妻のインテリアセンスがマッチした、20代夫婦の等身大の家が完成した。
コスト削減のための工夫と苦心が様ざまに散りばめられている。例えば、屋根には工場などで使われるルーフデッキを用いて、通常1週間は掛かる上棟と屋根工事を1日半で終わるようにし、大工の人件費と構造材料費を大幅に削減。それによる雨音や熱の問題は、屋根裏にウレタンを吹き付けることでクリア。また、外壁工事のコストを下げるため凹凸のない四角形の外観に。収納等は家具工事とせず、ポリランバーコア合板を使用して大工工事に。
●無垢のパイン材を貼った床は、素足で歩くと気持ちいい。Mさん夫妻が自分たちで天然塗料を塗った。
●LDKでは、キッチンをあえて斜めに配している。それにより視線が自然とバルコニーの方向に流れる。限られたスペースをより広く快適に見せる工夫だ。
●周囲の視線を気にしなくてもいい、開けた場所ならではの、解放的なつくりが魅力のバルコニー。リビングから見えるバルコニーの佇まいが空間を広く見せ、ゆとりを感じさせる効果は大きい。
●子供部屋。今はゆったり広々だが、ドアが2カ所に付けられており、将来は2分割する予定。