小山やすらぎの森公 衆便所   構造設計例 RC鉄骨混構造
の計画は「アトリエ慶野正司 一級建築士事務所」が建 築(意匠)設計をおこない、当事務所が構造設計を行った物件です。公園内の公衆便所ですから、公共工事の工事単価で施工しております。この不思議な形態を 如何にシンプルに構成し、施工を簡易にするかに重点をおき構造設計をいたしました。写真は棟上の段階であり、最終的には仕上げが施されました。もっとも構 造が露出されている個所ですのでここにアップします。屋根部分はFBをくみ上げ50mmに抑え 柱部分は40φの非常に細い構造体です。また柱がランダムに下部のコンクリートへ壁 から出ているのも構造設計の腕の見せどころかと思います。このような精度で施工するための仮設フレーム制作指示も設計上のポイントでした。街場の工務店で も施工できる設計、そして施工してみると意外に易しいというのがPOHの構造設計です。
非常に屋根が 薄いことがおわかりになると思います。
まだ屋根が赤いのは鉄骨のさび止めが露出されているからです。
建築設計:アトリエ慶野正司  
構造設計:STUDIOPOH  
監  理:小山市役所建築課  
1998年設計 1999年竣工

以下専門家の方向けに・・・。

今回の計画を行う上で検討した構成方法

宙に浮いた屋根を実行するため一般的な解決策を以下に示す
処理1  下部簡易埋込半固定+上部一体型ラーメン
 
    →RC打放部分に補修跡がついてしまう。上部構造体をラーメン化する必要有り(施工難)
処理2  下部ピン露出+上部一体型ラーメン
 
   → 露出柱脚のボルトやプレートが見えてしまう。上部構造体をラーメン化する必要有り(施工難)
処理3      トラス構造による屋根
  →露出柱 脚のボルトやプレートが見えてしまう。部材が多く、宙に浮くイメージを損なう可能性有。
結局既存のつくり方では薄く美しい屋根は施工不可能である。そこで・・・。

処理1

処理2

処理3

今回行った構造計画
以下のような形にモデル化を行い、構造体を成立させることにした
 

1  柱露出部分が少ないので下部固定端とすれば、上部自由端(ピン)としても充分に外力に抵抗できる。
2 コンクリートの壁の中に柱を埋め込むことで固定端として柱をモデル化した。
3 キーストンプレートでは軒先を
1200mmはね 出すことが構造的に不可能である。
     最も薄い屋根構造体としてフラットバーをタテに使用することとし、厚さ
50mmとした。
4 主構造体である
FB19の横補剛のため、FB6400ピッチで接合する。
  さらに屋 根の面剛性を確保するために鋼板3.2mmを点溶接 する。
5 フラットバーの交点を溶接とするため、そこに柱を接合できない。
  柱と屋根フラットバーの接合は 交点から
200mm逃がす。
    それによって柱がランダムに立っているように見せることができる。

STUDIOPOH
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